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前日本バンタム級チャンピオンの富施郁哉(ワタナベ)が20日、後楽園ホールでフィリピン同級3位のカルロ・デメシーリョと対戦し、8回3-0判定勝ちを収めた。7月に増田陸(帝拳)に王座を奪われた富施は再起に成功。
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じりじりと迫るデメシーリョにサウスポー富施はガードしてステップを踏みながら強気にパンチを打ち込んだ。左ボディーストレートや右ストレートを好打しては動き、デメシーリョに追いかけさせる展開をつくった。
デメシーリョもひるまない。近い距離での不意の右アッパーなど富施の被弾も少なくなかったが、富施は最後まで張りつめた気持ちで迎撃。試合終了間際に左カウンターでデメシーリョの動きを止め、追撃の右フックでダウンを奪った。ここでタイムアップとなり、79-72、78-73、77-74のスコアで勝利した。
「後手後手になってしまった」という富施だが、再起戦をクリアしてまずは安堵した様子。再び日本、OPBF、WBO-APのタイトル戦線に参戦したいと意欲を見せた。富施は15勝3KO4敗。デメシーリョは17勝10KO9敗2分。
セミのバンタム級8回戦では、日本11位の西岡伶英(川崎新田)がブリル・バヨゴス(比)に2回42秒TKO勝ち。デビュー5連勝(2KO)とした。
互いにシャープな左ジャブでスタートしたが、より戦略的だったのは西岡。初回、左ジャブからつないだ右ストレートをカウンターで決めて先制のダウンを奪う。一気に決めに出たところバヨゴスに合わされてダウンを奪い返されたが、さほどダメージを受けなかった西岡は2回早々、初回と同じタイミングで右を放ち、再び同じようなダウンシーンを演出した。今度はバヨゴス立てず、ストップとなった。
もう一つの8回戦はダウス・リテ(中)が杉田ダイスケ(金子)に初回1分17秒TKO勝ち。サウスポーのダウスが引っかけた右でバランスを崩しロープからはみ出しそうになった杉田は体勢を立て直そうとした瞬間、ダウスの左フックを被弾し、やや不運なダウン。これが尾を引き、続けざまに2度ダウンを追加されてストップ負けとなった。日本で2勝2KO1敗のダウスは8勝6KO1敗。杉田は8勝4KO6敗となった。
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またこの日は元OPBF、日本S・バンタム級チャンピオンの和氣慎吾の引退式も行われた。プロ野球の三浦大輔DeNA監督らが来場し、多くのファンに労われた和氣は顔をくしゃくしゃにして「18年のプロボクサー生活、感謝という言葉しか出てこない」とあいさつ。東京・国立駅徒歩2分の場所でフィットネスジムを開くことも明らかにした。