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WBCバンタム級王者の中谷潤人(M.T)が10日、相模原市内のジムで練習を公開、メディアの取材に応じた。中谷は20日、両国国技館「Prime Video Presents Live Boxing 9」で挑戦者1位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)との初防衛戦に臨む。
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今年1月、バンタム級王座を獲得して3階級制覇を成し遂げた中谷(27勝20KO)が初防衛戦に向けて精力的な姿を見せた。恒例のロサンゼルス合宿ではスパーリングが90ラウンドといつもより少なめだったが、その代わりに増やしたのがサンドバッグ打ち。中谷は「バッグで強いパンチを打つことを意識した。力強いパンチを打ってノックアウトシーンを見せたい」とその心を説明した。
強いパンチを打つ意味は攻撃力をアップさせノックアウトの可能性を高めるだけではない。重心を低く保つことによってダメージを受ける被弾を減らす効果もある。また、強いパンチを打とうとすると、力んでしまいがちだ。中谷は「力まないことが大事。“打つ”というより“投げる”というイメージ」とその極意を明かした。
3日に帰国後は川崎新田ジムのホープ西岡伶央、三谷大和ジムの梅津奨利らと31ラウンドのスパーリングを消化。一度は12ラウンドを行い、終わったと思ったらリモートで見守っていたルディ・エルナンデス・トレーナーから「もう1ラウンド」と追加されたというエエピソードを開かした。
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昨年5月、WBO王者だったジェーソン・モロニー(豪)戦以来、2度目の世界挑戦となるアストロラビオ(19勝14KO4敗)については、「中間距離からパッと打ってくるワンツーはタイミングがいい。左フックも振ってくるので、そこを意識して自分のボクシングをはめていきたい」と油断はなさそうだ。
「この試合に集中している」と語る一方で、リング誌のパウンド・フォー・パウンド・ランキングで10位に入る中谷の志はどこまでも高い。「悔いのないような戦い方をしてノックアウトしたい。よりビッグファイトを期待してもらえるようなパフォーマンスを見せたい」と言葉に力を込めた。