元WBC女子世界フライ級王者、真道ゴー(30=グリーンツダ)が30日、大阪市のジムで現役引退を発表した。性同一障害の真道は今年5月、タイで性転換手術を受けて、6月に本名の「橋本めぐみ」から「橋本浩(ごう)」と戸籍を変更して男性になっており、男子プロボクサーとして再びリングで戦いたい意向を示した。女子ボクサーから男子ボクサーになった例は前代未聞で、元女子世界王者の今後の動向が注目される。
和歌山市出身の真道は大学1年までバスケットボールの選手。長く性同一障害に悩んでいたが、大学中退後、レスキュー隊員を目指し、同市内のクラトキジムでトレーニングを続けるうちにボクシングに夢中になった。
2008年5月にプロデビュー、秋田屋まさえ(ワイルドビート)に敗れたが、その後は右強打で連勝、11年にOPBF女子フライ級タイトルを獲得。12年、米国でマリアナ・フアレス(メキシコ)が持つWBC女子世界フライ級王座に挑戦するも10回判定負け。
しかし、13年3月、和歌山市でレナタ・セベレディ(ハンガリー)に勝って同級王者になり、2度防衛。15年、グリーンツダに移籍。昨年6月、後楽園ホールでWBO女子世界王者、藤岡奈穂子(竹原&畑山)に挑戦するもダウンの応酬の激闘の末、判定負けしたのがラストファイトになった。戦績は16勝11KO4敗。
今年5月に性転換手術、7月に結婚
かねて性同一性障害を公表している真道は今年7月8日に長年交際していた亜由佳さん(33)と結婚。障害を持った子どもたちのデイサービスを行う会社を経営しているが、まだまだボクシングへの熱情は燃えたぎっている。
「最後の藤岡選手との試合はもっとできた。男子選手としてボクシングを続けたいと思っている」と言い切る。男性ホルモン注射を打っており、「腕立て伏せを続けると筋肉が付いて、体が変わってきたのがよくわかる」そうで、週2回、和歌山市からグリーンツダジムに練習に通っている。
男子ボクサーに勝てないとは思っていない
「男子ボクサーに勝てないとは思っていないし、やってみないとわからない。やりがいがあると思う」と話す真道だが、性転換した男子プロにライセンスが認められるのか、実現にはまだまだ課題は山積している。本石昌也・グリーンツダジム会長は「実現に最大限の努力は惜しまない」とバックアップを約束した。