17年12月アメリカでIBF世界S・フェザー級王座を獲得しながらドーピング違反で王座をはく奪された尾川堅一(帝拳)が2日、後楽園ホール「ダイナミックグローブ」のメインイベントに登場。132ポンド契約10回戦で、フィリピン・ライト級王者ロルダン・アルデアに3-0判定勝ちした。スコアは97-93、98-92、99-92。
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尾川(右)の強烈な右はさび付いていなかった
ホールの大歓声を浴びて尾川が1年2ヵ月ぶりのリングに上がった。上体を柔らかく動かしながら左カウンターを狙うサウスポーのアルデアに対し、尾川はジャブを出しながら距離を測る。もちろん狙っているのは右だ。
アルデアはスタンスが広く、踏み込みがなかなか鋭い。2回、何度か左ストレートを尾川のボディに打ち込む。互いにフェイントをかけ合い、立ち上がりははアクションの少ない展開となった。
尾川は4回にペースアップし、右強打でアルデアにプレッシャーをかけていった。これでペースを掌握すると、5回以降はさらに右、返しの左フックでアルデアに迫った。尾川のパンチが何度かヒットするが、アルデアも打たれ強いところを見せる。
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「ド緊張した」という尾川、試合後に笑顔が戻った
それでも7回、尾川がアルデアの左の打ち終わりに右を叩き込むと比人がグラリ。畳みかけるが、ここは仕留めることができなかった。尾川は8回以降、KOを狙って右を打ち込んだが、アルデアもタイミングのいい左で抵抗。判定決着となった。
尾川は23勝17KO1敗1無効試合。「復帰戦は本当にお客さんが集まってくれるのか怖かった。これだけ集まってくれて感謝の気持ちでいっぱい。倒したい気持ちが強すぎて空回りしたところはあるけど、最低限勝つことができたので、次につながると信じて、次のステップに進みたい。今年は勝負をかけたい」。涙ぐむ姿が苦労を物語った。よく健闘したアルデアは11勝6KO7敗1分。