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東京合宿中のWBA世界フライ級チャンピオン、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)。27日には帝拳ジムで2階級制覇王者の京口紘人(ワタナベ)と6ラウンド、28日は別の相手と8ラウンドのスパーリングを行い、状態のよさをアピールした。
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阿久井は10月13日、東京・有明アリーナの2度目の防衛戦でタナンチャイ・チャルンパック(タイ)の挑戦を受ける。「Prime Video Boxing10」の2デイズ興行。
試合に備えて阿久井は9月から帝拳ジムを拠点に実戦練習を重ねている。「調子を崩さずにやれています」と阿久井は言う。今回から小中学校の同級生で地元で接骨院に勤める信定知宏さんに体のケアを頼むなど、コンディショニングに気を遣っている。
スパーリングは日に6ラウンドの週5ペース。興味深いのは一日一日異なる相手と行っていることだ。京口のほか、岩田翔吉、高見亨介、小川寛樹(いずれも帝拳)、山内涼太(角海老宝石)がパートナー。仮想タナンチャイに限定したものではなく、さまざまなタイプとこなしている。相手対策よりは自身のボクシングの幅を増やすことが主眼というわけ。
「実際、リングで相手が何をしてくるのかは分からないものがあるし、自分に引き出しがあれば慌てることもないと思いますから」(阿久井)
京口とのスパーリングは、トップファイター同士のレベルの高いやり取りに終始。先輩王者の京口は「6分の力で冷静にずっと打ち続けるのがすごい。僅差のラウンドを取られて、あっという間に6ラウンドが終わった感じです」と阿久井を絶賛した。
プレッシャーの強さが印象的な阿久井だが、単なるパワーファイターではない。テクニックや速さ、間合いの詰め方で相手を追い込むのがその実相。将棋のようなボクシング? と聞くと、チャンピオンは「将棋は駒を見ると動かし方が読めるから、むしろオセロかな」と言っていた。タナンチャイとの試合が楽しみだ。