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5日後楽園ホールのセミでフィリピン・ランカーのアラン・アルベルカと対戦する尾川堅一(帝拳)は、これが13ヵ月ぶりの試合。そして「現役生活の分岐点」と位置付ける一戦である。
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一昨年6月、カーディフで世界S・フェザー級王座を失って以降の尾川は2戦2勝だが、昨年9月にマービン・エスクエルド(比)に判定勝ちしてからリングに上がっていない。もっとも、この間は海外戦の話もあり、日々の練習を欠かさなかった。いつ決まっても出ていけるよう体重もキープしていた。
一方で試合から遠ざかったため世界ランキングは若干下降しつつある(最新ランキングはWBC12位、WBO7位)。「世界ランキングはモチベーションの一つ」という尾川にとっては待ち望んだ試合である。
普段ジムでは、持ち味のスピードの衰えを自覚したことはない。しかし試合勘に関しては「リングに上がってみないと分からない」と尾川は正直だ。それゆえ今回のアルベルカ戦は、今後のボクサー生活のバロメーターになると考えている。
「できて当たり前なのかもしれないけど、いまの自分がどれくらいやれるのか。それが分かると思う。今回の試合が一番緊張していますよ。はたして試合後に自分がどういう気持ちでいるのか」
世界返り咲きを目指す36歳の元チャンピオンは「ただこなす試合じゃない。しっかりやりますよ」と握りこぶしに力を込めた。