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パーフェクト! 矢吹正道世界返り咲き ノンティンガを3度倒し9回TKO

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 12日、愛知県国際展示場で行われたIBF世界L・フライ級タイトルマッチ12回戦は、元WBC同級王者の挑戦者2位・矢吹正道(LUSH緑)が、王者シベナティ・ノンティンガ(南アフリカ)から3度のダウンを奪った末に9回1分50秒TKO勝ち。2年7ヵ月ぶりに世界王座に返り咲いた。

ノンティンガに右を叩きこむ矢吹㊨ photo/Harumi Sugao

 傷ひとつ負わない矢吹の完ぺきな勝利だ。中間距離を得意とし、左ジャブを武器のひとつとしている両者。だが、初回にノンティンガが切れ味鋭い左を飛ばしたものの、矢吹はこれを明確にかわし、左フック、右アッパー、右カウンターで脅かすと、ノンティンガはおいそれと攻撃を仕掛けられなくなった。

 とにもかくにも矢吹のジャブが冴えた。肩の力感を抜き、スッと出す。基本的にハイガードに構える矢吹だが、左腕の位置を微妙に変え、左足の踏み込みのタイミングも変えてジャブを放つ。ノンティンガをとらえる瞬間にグッと拳を固め、硬さを印象づける。そして、ノンティンガが攻撃の起点とするジャブは、小さなステップで距離を築いて外す。リターンのジャブや右カウンターを合わせる。

 どうしてもジャブを届かせられないノンティンガは、右ストレートにつなげられず、しかたなしに左フックに頼らざるをえない。2回に矢吹も1発だけもらい、顔をのけ反らせたが、以降はしっかりと掲げたグローブで寸断した。

 攻めてはカウンターを合わされ、引いてはジャブをゴツゴツともらう。ノンティンガは攻撃のきっかけをどんどん失っていき、手を出せない。同時に戦い続ける心も削られていった。

 4回の時点で、がっちりと主導権を手にしていた矢吹は、何をしてもうまくいく状態だったが、決してペースを乱さない。左ジャブでコントロールする“石橋を叩いて渡る”ボクシングを継続する。それがノンティンガにフラストレーションを降り積もらせた。5回、王者はやむなくテンポを上げて強引に右ストレートを放ってきたが、ラウンド終了間際に矢吹の右カウンターがヒット。両者の上下関係は、さらに開いた様相だった。

 8回。矢吹は左ボディーカウンターを打ち込むゆとりも持ち、漫然と距離を詰めてきたノンティンガにワンツーをヒット。これでバタついた王者に右打ち下ろしを立て続けに決めてダウンを奪うと、続く9回に右で2度のダウンを追加。すでに闘争心を失っていた王者の状態を悟りレフェリーが試合を止めた。

 「強いチャンピオンに勝って、本物のチャンピオンになれたと思う」と誇らしげに語った新王者。今後の抱負を訊かれると、「まだわからないけれど、階級をフライ級に上げて、オラスクアガと戦ってみたい」と明後日14日に初防衛戦(東京・有明アリーナ)を控えるWBO王者アンソニー・オラスクアガ(米)の名を挙げた。17勝16KO4敗。

 1度は手放した王座に返り咲いたものの、初防衛ならなかったノンティンガは13勝10KO2敗。右目上から血が滴り、右目下は大きな腫れ。矢吹のジャブの威力がわかる痕跡だった。

再び世界チャンピオンとなった矢吹

 セミファイナルで行われたS・フライ級8回戦は、期待のルーキーで日本同級11位にランクされる政所椋(まんどころ・りょう、KWORLD3)がOPBFフライ級8位のアルビン・カミケ(フィリピン)に78—73、78—73、77—74の3—0判定勝利した。

 スコアでは完勝も、内容的には本人も不満の残る勝利だった。突進し、体ごとぶつかってくるカミケが政所を抱え上げ、初回から減点を受ける荒れ模様。政所は強いパンチでカミケを止めようと躍起になり、冷静さを欠くラウンドもあった。

 頻繁にサウスポーにスイッチし、カミケをコントロールしようとした政所。カミケのスイング系ブローはしっかりとかわし、バランスを崩させたものの、その中に織り交ぜてくるコンパクトな右ストレート、フックをもらうシーンも。手数の多さで上回り、ポイントは拾い集めていたものの、全体的にカミケの前進を止める意識が上回り、攻撃を外すステップがおざなりになっていた。4回に左ジャブ、右リードを多用していたが、これを要所要所で使えていれば、さらにしっかりとリズムに乗れたことだろう。

 わずか4戦(4勝2KO)の政所にとって、いい経験となる8ラウンズだった。カミケは9勝4KO3敗。

 OPBFランカー(9位)のロルダン・アルデア(フィリピン)と日本ランカー(9位)英豪(えい・ごう、本名:齋藤英豪=さいとう・ひでたけ、LUSH緑)によるライト級8回戦は、英豪が80—72、80—72、78—74の3—0判定で勝利し、東洋太平洋ランク入りを濃厚とした。

 身長で上回る英豪が、打ち下ろす右ストレートから左フックのコンビネーションで先制。引きのスタイルを持つアルデアが潜り込んでこようとすれば右アッパーから左フックを決めて早々に主導権を得た。

 英豪は、アルデアの入り際に右アッパーをボディーに突き刺して、右からの攻撃に幅をもたせると、足を止めて左右ボディー連打も披露。ややスタミナを失ったところでアルデアの左をもらうラウンドもあったが、ステップで攻撃をかわし、右カウンターをヒットしたり、左ジャブで“間”を埋めたりする上手さも見せた。

 決定的な場面こそ作れなかったものの、鈴木雅弘(角海老宝石)と2度OPBF王座を争った(1分1敗)アルデアを全体的にはしっかりとコントロールし、プロ4戦目(4勝2KO)を飾った。敗れたアルデアは19勝11KO11敗2分。

◆S・フライ級8回戦
花田颯(KWORLD3)[負傷引分2回38秒]デンマーク・ケビド(フィリピン)

◆56.0kg契約4回戦
宮里駿太(オキナワ)[TKO1回1分31秒]藤本翔大(LUSH)

S・ウェルター級6回戦
上村健太(LUSH緑)[判定3—0(59—55、59—55、59—55)]ピーラポン・プオンギャオ(タイ)

◆60.7kg契約4回戦
月田翔一郎(LUSH)[判定3—0(39—36、38—37、38—37)]仲里健太(WINNER)


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