12日(日本時間13日)ニューヨークのマジソンスクエアガーデンで挙行された注目のWBA世界ライト級タイトルマッチは王者ホルヘ・リナレス(帝拳=ベネズエラ)が挑戦者でWBO・S・フェザー級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に10回2分8秒TKO負け。4度目の防衛に失敗した。リナレスは6回にダウンを奪う見せ場もつくったが、“ハイテク”ロマチェンコの軍門に下った。
リングに上がったリナレスは、ロマチェンコよりも体格面でやはり大きな印象。左ジャブを飛ばしてスタートした王者に対し、挑戦者ロマチェンコはポジションをしきりに変えながら接近を図る。2回はパンチを集め出したロマチェンコにリナレスも右アッパーを腹に突きさして緊迫。
リナレスはワンツー、鋭い左ボディフックをうまく使ってロマチェンコとハイペース・ハイレベルな試合を繰り広げた。ロマチェンコがさらにピッチを上げていく。4回は左から右フック、しかしリナレスも右を当て返して負けていない。
迎えた6回、やや余裕のうかがえるロマチェンコが左を放つ瞬間に抜群のタイミングでリナレスの右ショートが着弾。ばったりと腰からロマチェンコがダウンした。ここは残り時間が少なくインターバルにエスケープしたロマチェンコは7回を慎重に戦うと、再び8回から手数を増やす。
左目付近にカット傷を負ったリナレスだが、それでもシャープかつ強いパンチでプレッシャーはかけ続ける。9回は左アッパーを交えたすばやい4連打でロマチェンコにガードを強いた。ロマチェンコはヒットを重ねつつ、気を抜かない。
リナレスはよく対抗していた。しかし10回、ロマチェンコが左アッパー、ストレートの連打。リナレスが顔面の守りを固めたところに、左のボディフックが滑り込んだ。リナレスたまらず苦痛に顔をゆがめてダウン。何とか立ち上がって続行しようとしたが無理だった。
9回までのスコアは三者三様
9回までのスコアは85-85、86‐84(リナレス)、84‐86(ロマチェンコ)の三者三様。たえず緊張感の漂う好ファイトだった。世界最速となる12戦目で3階級制覇に成功したロマチェンコは11勝9KO1敗。無念のリナレスは44勝27KO4敗。Photos/SUMIO YAMADA