あす25日、大田区総合体育館でゴングとなるダブル世界タイトルマッチの計量が24日、東京ドームホテルで行われた。WBA世界バンタム級王者ジェイミー・マクドネル(英)は予定時刻を1時間10分遅刻して登場。53.3キロをマークしてことなきを得たが、1時間以上待たされた挑戦者の井上尚弥(大橋)は怒りをあらわにした。
13時からの計量にそなえ、12時にホテル入りした井上に対し、マクドネルから「遅れる」との報告が入り、計量は13時30分開始に変更された。しかし、実際にマクドネルが到着したのは14時10分。昨日とは別人のようなやつれた表情で秤に乗ったマクドネルが合格すると、英国陣営が「ジェイミー! ジェイミー!」と大声で王者をたたえた。
リミットの53.5キロでパスした井上はこれに怒り心頭。写真撮影を求められると、いきない厳しい顔で王者をにらみつけた。直後の取材では「ふざけてますね。一昨日、昨日は紳士だと思っていたけど、1時間オーバーはない。謝りの言葉ひとつないのも腹が立つし、陣営の態度もない。あしたは(思いを)ぶつけますよ」と怒りの“お仕置き”を宣言した。
マクドネルが遅れた理由はギリギリまで減量に励んでいたからだ。診察部屋にこもった本人に代わり、マクドネルが契約するマッチルーム・ボクシングのエディ・ハーン氏が釈明をした。
それによると、体重を落としてから宿泊している横浜のホテルを出発しようと考えたとのこと。プロモーターである大橋秀行会長、帝拳ジムの本田会長には随時連絡を入れていたそうで、「日本人と違って我々はそこまで時間にきっちりしていない。海外で30分、1時間の遅刻はよくある話だ」とも発言した。
マクドネルは昨年11月の防衛戦後、階級をアップする予定だったが、井上とのビッグマッチのオファーが舞い込み、バンタム級にとどまる決断をしたという。こうした事情もあって、マクドネルの減量は過酷を極めた模様だ。
計量後の検診では血圧は上が89と低く、ドクターによるとこれは脱水症状。それでも試合出場は問題なしと診断され、ハーン氏も「明日には回復して万全だ」と言い切った。
一方、マクドネルを目の当たりにした井上は「昨日とは別人だった。水抜きのダメージは相当だと思う。40歳くらい年をくったように見えた」とその変わりぶりに驚いた様子。それでも「明日の夜9時までには時間がある。回復してくると思う」と警戒心をゆるめなかった。Photo/SUMIO YAMADA