WBO世界フライ級チャンピオンの木村翔(青木)が19日、都内で記者会見を開き、8日後の27日に中国のチンタオで2度目の防衛戦を行うと発表した。挑戦者は同級4位のフローイラン・サルダール(比)。
木村(16勝9KO1敗2分)は昨年7月、中国の上海で同国のスター、五輪2大会金メダルのゾウ・シミンを11回TKOで下して世界タイトルを獲得。大みそかには元WBC王者の五十嵐俊幸を9回TKOで退け、初防衛を成功させた。
しかし、ゾウにオプションを握られていることから次期防衛戦の開催が難航。1位にランクされる田中恒成(畑中)との指名試合の情報も流れたが、中国側がギリギリになってオプションを行使。実際に試合が決まったのは6月中旬だったという。
急な試合決定となった木村だが「もう少しスケジュールがほしかったのは本音ですけど、それは相手も同じこと。目の前の敵を倒すのが大事で、相手がだれであろうと、どこであろうと変わらない」と淡々としたもの。アウェイに強い木村はこれしきのことでは動じないのだ。
対するサルダールは28勝19KO2敗1分の29歳。16年9月に井上拓真(大橋)と対戦し、判定で敗れたものの初回にダウンを奪って周囲を驚かせた。今月13日、神戸で山中竜也(真正)からWBOミニマム級タイトルを奪ったビック・サルダールは実弟にあたる。
サルダールは拓真との試合後、5連続KO勝利をマーク。弟の戴冠劇もあって勢いに乗っていると言えるだろう。木村は「前半はスピードがあってパンチがある」と挑戦者を評価。その上で「そこを耐え忍んで、僕の持ち味である後半勝負、スタミナ勝負に持ち込みたい」と決意表明した。
準備期間が短かったとはいえ、初防衛戦後は家賃5万円のアパートからから15万円の高層マンションに引っ越し、スポンサーの協力を得てアルバイトをせずボクシングに専念できる環境を手に入れた。「環境が変わって以前よりも集中力が高まった。(日本王者の)黒田雅之選手と十分なスパーを積めた」と強調するのは有吉会長だ。
勝てば田中恒成との指名試合へ
この試合に勝利すれば、3度目の防衛戦で2階級制覇王者の田中を迎えることが濃厚。さらなる高みを目指す木村にとって負けられない中国の防衛戦となる。
なお試合の模様は中国中央電視台のスポーツ専門チャンネル、CCTV5で中国全土に生中継される。日本での放送予定は今のところない。