31日マカオのトリプル戦のメインでWBO世界S・フライ級王座決定戦に出場した同級3位井岡一翔は、1位のドニー・ニエテス(比)に12回1-2の判定負け。日本初の4階級制覇に失敗した。
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井岡(左)とニエテスは激しいペース争いを演じた
ともに3階級を制した実力派の対決とあって、試合は序盤からハイレベルなブローの交換となった。井岡は絞り気味のガードでじりじりと左ジャブで出、ボディをおりまぜたコンビネーションで攻める。ニエテスもスムーズな右アッパー、カウンターを放って対抗。互いに攻めの意志を示しながら相手の隙を狙ってためらいなくパンチを繰り出す、緊迫の展開となった。
4回はニエテスの右―左で一瞬動きの止まった井岡。しかし大崩れはせず、左ボディ、アッパーもたくみにヒットしてラウンドを進めていく。中盤は脚運びのうまさも生かし、拮抗した技術戦でポイントをピックアップ。36歳ニエテスも技巧派対決ではそこまでの衰えを感じさせず、さすがのスキルでうならせた。
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終盤は井岡が距離を取ってニエテスと対峙し、試合終了のゴング。高水準のフルラウンドを終えて、井岡やや優位かと思えたが、スコアは118-110、116-112、112-116でニエテスの勝ちを支持していた。ニエテスは42勝23KO1敗5分。井岡は23勝13KO2敗。
井岡一翔の話「僕の見定めた目標も甘いものじゃないと分かっているし、ここで戦っていくためにももう一度踏ん張らないといけないと思う。
試合は緊迫感のあるのある展開で1ミリたりとも油断できないというか、ジャブひとつもらえないないという緊張感の中で戦っていたので難しかった。自分の勝ちと信じてましたけど、倒しきれなかった自分が悪いので。
単純にもっといけばよかったというのはありますけど、距離感の駆け引きとか、あの展開でもらえないというリスクを背負って、お互いにペースを握れない探り合いの中で、もっといけばよかったですけど、行けなかったですね。ニエテスも強かったです」
ニエテスの話「井岡はこれまで対戦したきた選手の中でもベストの部類に入る。試合中にスタイルを変えてきた(距離を取るようになった)ので難しくなった。スタイルを変えなければKOできたと思う。
いま戦いたいのはロマゴン、エストラーダ、シーサケットの3人。井上尚弥? 上げたばっかりで、さらに階級を上げるつもりはないよ」Photo/SUMIO YAMADA