WBOアジアパシフィック・ミニマム級王者の谷口将隆(ワタナベ)が2月26日、後楽園ホールでWBO世界同級王者ビック・サルダール(比)に挑戦する。ワタナベジムが17日、記者会見を開いて発表した。
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世界初挑戦が決まったサウスポー谷口
会見した谷口は「やっときたかという感じ。(同期である京口や井上尚弥に)自分も続きたいし、ゆくゆくは超えていきたい。世界チャンピオンになってからが始まりだと思う」と声を弾ませた。
プロ13戦(11勝7KO2敗)でデビューから3年たっていないのだから「やっときた」は早いようにも思えるが、谷口のたどってきたプロセスに目を向けると「なるほど」と思えてくる。
谷口は龍谷大で主将を務めたのち、大商大出身で大みそかに2階級制覇を達成した京口紘人とともに16年4月にプロデビュー。ジムのホープとして大いに期待された。
京口と谷口をスカウトし、現在も指導する井上孝志トレーナーは「技術は谷口のほうが上だった」と証言するが、世界への階段をあっという間に駆け上がった京口とは対照的に、谷口は日本、OPBFタイトル戦でつまずいた。
さらに昨年4月のスパーリングで左手甲を脱臼して手術。戦線離脱を余儀なくされたが、「けがをして吹っ切れた」とこれがけがの功名に。メンタルが成長し、この機会に徹底したスタミナ強化に励んだことも功を奏し、昨年11月、タイでWBOアジアパシフィック王座に就き、今回のチャンスを手にした。
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渡辺会長(左)と井上トレーナー(右)も自信のコメント
王者サルダール(18勝10KO3敗)は昨年7月、山中竜也から王座を奪取。今回が初防衛戦となる。15年12月にはWBOミニマム級王者だった田中恒成(畑中)に挑戦し、ダウンを奪いながら6回KO負け。日本にもなじみのある選手だ。
強打のサルダールに対し、ディフェンスに自信を持つ谷口は「まずはもらわないこと」とした上で「前半に弱らせて、後半に仕留める試合がしたい」と青写真を描いた。
かつてサルダールを始動したベニー・デラペナ・トレーナーと昵懇の仲という井上トレーナーは「いろいろ情報を得ている」と自信の表情。2月に王者の母国フィリピンで合宿を張り、サルダール対策を完璧に仕上げる予定だ。
なお、日本、OPBF王座を獲得していない選手は国内で世界タイトルマッチに出場できない協会の内規があるが、WBOアジアパシフィック王座獲得者はWBO王座に限り挑戦が認められている。また、試合の模様はTBSで録画中継される(関東ローカル、放送日時未定)。