昨年までリングドクターを務めた脳外科医の田中将大(川崎新田)が6日、後楽園ホール「DANGAN」でプロデビュー。ミニマム級4回戦で同じくデビュー戦の瀬下雄介(協栄)に1回25秒TKO勝ちを収めた。
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試合開始早々にダウンを奪った田中
田中がリングドクターとしての経験を選手として生かした。「デビュー戦の選手はヒザが硬い。最初から狙っていった」という作戦通り、ゴングと同時に相手に突進して右を振り下ろすと、これが決まっていきなりダウン。立ち上がった瀬下に襲い掛かり、再び倒して試合を決めた。
試合前日は「(パンチを浴びて)脳が揺れるのを楽しみたい」と話していたが、圧勝で脳は揺れずじまい。試合後は相手のコーナーに駆け寄り、感謝の気持ちを伝えると同時に「気持ち悪くはないですか?」とリング上で“診察”も。初めてドクターチェックを受ける側も経験し「とても新鮮だった」と目を輝かせた。
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「応援してくれた人に感謝。入場からすごく幸せだった」と田中
リングドクターとしてボクシングに関わり、選手が病院に搬送される重症例も立ち会ってきた。「試合をすることに恐怖感はあった」というが、「ボクサーの気持ちがわかるリングドクターになりたい」とライセンスを取得、デビュー戦にこぎつけた。
リングから見えた景色は「最高だった」と田中。今後も一流の脳外科医を目指しながら、試合出場を希望している。