前WBO世界フライ級チャンピオンの木村翔(30歳=青木)が19日、都内の日本ボクシングコミッションで記者会見を開き、現役続行を表明した。木村は昨年9月、田中恒成(畑中)との激闘に敗れて王座陥落。試合直後は引退をにおわせたが、進退について公式には口にしていなかった。
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「いまはボクシングの幅を広げている」と木村
木村は年間最高試合に選ばれた田中戦後、「2カ月くらいは遊び惚けていた」というが、「負けてもこんなに応援してくれている人がいるとあらためて思った。ファンのためにもう1回くらい熱い試合をしたい」と復帰を決意。昨年からトレーニングを再開し、今年に入ってスパーリングも始めている。
気になる再起戦はまだ正式決定していないものの、3月下旬に中国・上海で行われる計画が進んでいる。木村は17年7月、上海で五輪2大会金メダリストの鄒市明(ゾウ・シミン)から王座を奪取。バイト暮らしの無名選手がスター選手から勝利を奪う姿は、中国ファンの心をがっちりつかんだ。
木村はこれを機に、中国での知名度を一気に高め、昨年12月には中国最大のSNSであるウェイボーが主催するSNSアワードで日中スポーツ貢献賞を受賞。ジムにふらりと中国人女性ファンが訪れ、木村と写真を撮る姿も珍しくなく、日本よりむしろ中国で広く知られているという。
有吉将之会長によると、中国のプロモーターからいくつかオファーがあるそうで、こうした事情から今後は状況を見極めながら、中国を第2のホームにする考えだ。
木村は「プロスポーツ選手として需要のあるところ、ファイトマネーの高いところで試合をするのがベスト。ただ、まず第一に世界のベルトをもう一度巻きたい気持ちが強い。稼ぐのはそれからでいい」と意気込みを語った。