WBO世界フライ級タイトルマッチが16日、岐阜メモリアルセンターで愛ドームで行われ、3階級制覇チャンピオンの田中恒成(畑中)が挑戦者4位で元WBA・IBF世界L・フライ級統一王者の田口良一(ワタナベ)に判定勝ち。初防衛に成功した。
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田中(右)は田口のボディにかなりのパンチを見舞った
ともにL・フライ級世界王者だった17年に内定した統一戦が田中のけがで流れ、クラスを上げて1年越しに実現した“因縁”の一戦。初回から緊張感あふれる攻防が展開された。
左を差し合いながらの幕開けは、田口がジリジリと前に出て、田中がサイドに動きながらジャブから右につないでいく。出入りのスピードが速い田中と、ジャブ、アッパーをコツコツと見舞う田口。パワーでは田中が上回り、田口の思い切りのいい攻めも目を引いた。
3回開始早々、田口が右を田中のテンプルに決めると、田中のヒザがガクリ。バランスを崩しただけのようにも見えたが、これには会場が沸いた。ここで田口は畳みかけたが、やはり田中のダメージは軽度で、左ボディで冷静に反撃した。
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勝利しながらも「反省点はすごく多かった」と田中
4回以降、ペースに握っていったのは田中だった。ボディ攻撃が効いたのか、田口が下がるシーンが目につきはじめる。田中の右が田口のガードを破って顔面に届く場面が増えてくる。
逆に田口はジャブをはじめ手数が減り、懸命に反撃を試みようとするものの苦しい。中盤に入ると田中に明らかに余裕が出てきた。田中は縦横に動きながら、上下にパンチを決め、田口にダメージを与え続けた。
完全に劣勢になってもあきらめないのが田口だ。下がらされながらも、懸命に踏みとどまり、ボディ打ちや右のショートを繰り出して抵抗した。
ラスト2ラウンドは、セコンドから「打ち合え!」の声が飛び、田口が力を振り絞って前へ。田中も最終回にフルスイングで攻めて会場がヒートアップ。田口のガッツはすさまじかったが、田中は打ち合いでも負けなかった。田中は13勝7KO。田口は27勝12KO4敗2分。