14日夕に熊本県合志市総合体育館で行われたWBOアジアパシフィック・フェザー級タイトルマッチは、地元出身の王者森武蔵(薬師寺・19歳)が前王者(現10位)リチャード・プミクピック(比国・28歳)と12回激戦の末2-1判定勝ちで難敵を制し、ベルトを死守した。
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森(左)はプミクピックとの激戦を制した
両者は昨年11月に愛知県刈谷市で対戦し、この時はプミクピックがカットして森は負傷判定勝ちで幸運な新チャンピオンとなり、初防衛戦で因縁の相手とのリマッチに臨んだもの。
今回も気持ちの強い同士の厳しい攻防が展開された。郷里のファンの声援を背に積極的に仕掛けたサウスポー森は、強気でワンツー、左ストレートを決める。対してプミクピックも力強く応戦。特に右ストレートはやや強引ながら再三森のあごを上げ、森は見栄えが悪い。鼻血を流して苦しい戦いとなった。
しかし森も強気の姿勢を崩さず、8回にはパンチで相手の左目上を切り裂いた。終盤はプミクピックも形勢を引っ繰り返すだけのパワーは残っていなかった。
「自分もプミクピック選手もはっきりKOで結着つけたかったと思うが、こういう判定になって申し訳ない」と会場のファンに謝った森。特に大きな乱れもなく初の12回を戦い抜いての勝利は貴重な経験となったに違いない。森はこれで9連勝5KO、奪還ならなかったプミクピックは21勝6KO10敗2分。
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重岡(右)は初判定決着も貴重な経験を積んだ
重岡銀次朗が初の判定、堤聖也は初回一撃KO
前座で地元熊本出身でアマから転向した2ホープが登場。セミのミニマム級8回戦では、アマで高校5冠王の重岡銀次朗(ワタナベ=開新高OB)がジョエル・リノ(比国)に3-0判定勝ちし、プロデビュー以来3連勝をマークした。
本人は初の判定勝利に不満そうだったが、粘り強いリノのラフ・ファイトをかわして初の8ラウンドを戦い抜いたのは貴重な経験だったはずだ。
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堤は左フック一発で試合を終わらせた
セミセミのS・フライ級8回戦では、堤聖也(ワタナベ)がライアン・ポンテラス(比国)を初回左フック一発で沈め1分52秒TKO勝ち。この日まで38戦してKO負けなしの相手に判定勝負も覚悟した堤だったが、力を入れずに放った一撃がポンテラスに10カウントを聞かせる強烈な威力を発揮した。これで昨年デビュー以来5戦全勝4KOとした。