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「どんなかたちでも勝てればいい!」。Prime Video Boxing10(東京・有明アリーナ)の初日13日に井上拓真の持つWBA世界バンタム級王座に挑む同級2位の堤聖也(角海老宝石)が4日、練習の拠点にしているDANGANジム(東京・江古田)でメディアの取材に応じた。
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試合まで残り1週間となったこの日の時点で体重は53・5キロのバンタム級リミットまで「あと4キロ」と言い「すごくいい感じで進んできている」と堤は手ごたえを感じている。
チャンピオンの拓真とは高校2年のインターハイ準決勝で対戦して敗れており、今回が12年ごしのリベンジ戦となる。井上拓真や田中恒成、ユーリ阿久井ら同世代が活躍する中、高校・大学と全国大会で一度も優勝を果たせず「劣等感」を抱いていたという堤。しかしこの劣等感をバネに変え、プロでは日本タイトルを獲得。増田陸、穴口一輝らを撃退してついに世界挑戦の大舞台に立つことになった。
いまの井上拓真については「スピードとディフェンス力、ボクシングそのもののスキルはすごく高い」と評価している。兄・尚弥に「仮想堤」になってもらって練習していると聞いて「その手があったか」と言って笑わせたが、「でも尚弥さんほど俺、レベル高くないし速くもない、もっと下手」とも。実際に試合になってチャンピオンが仮想堤と本物との違いに混乱してくれたらと期待している。
「全体的には拓真選手のほうが上」と認めつつも、勝機はあると堤は信じている。「一瞬一瞬でどれかが上回ったら、コロっと展開がずれる」(堤)「一瞬のチャンスを逃さないこと」(石原雄太トレーナー)を心がけて練習してきたという。
この試合に備えて堤は112ラウンドのスパーリングをこなしてきた。スパーリング・パートナーも、井上尚弥と対戦歴もあるジェイソン・マロニーの他、ジムの先輩・小國以載、寺地拳四朗らの世界チャンピオン経験者が並ぶ豪華な顔ぶれ。これだけでも打倒井上に懸ける堤の意気込みを感じさせる。他にも横山葵や坪井智也の元アマ王者ともスパーを経験し、世界初挑戦に向けて準備は万端だ。