日本&OPBF女子バンタム級王者の吉田実代(EBISU K’sBOX)は22日、東京・恵比寿のジムで記者会見を開き、6月19日幕張メッセでWBO女子世界S・フライ級王座決定戦に出場すると発表した。この日のメインは井岡一翔(Reason大貴)vsアストン・パリクテ(比)のWBO世界S・フライ級王座決定戦。
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「適正はS・フライ級」と吉田。階級を下げての挑戦を歓迎
“戦うシングルマザー”吉田(12勝1敗)は20歳で格闘技を始め、キックボクシング、総合格闘技、シュートボクシング、ムエタイとキャリアを積み、2014年にプロボクシングデビュー。出産でブランクを作りながら、16年に復帰して世界挑戦までたどりついた。満を持して世界の舞台に立つ31歳のママは「チャンピオンになってお世話になった方々に恩返ししたい」と声を弾ませた。
復帰したころは赤ちゃんだった実衣菜ちゃんも4月14日で4歳になった。当初は幼い子どもを育てながらボクシングをしていることに「批判的な声もあった」という。
それでも周囲の人に支えられ、自らの進む道を信じた。朝に娘を保育園に送り届け、スポーツジムのインストラクターの仕事をこなし、夕方に保育園にお迎え、ジムのスタッフに子どもの面倒をみてもらいながらトレーニング、という生活を続け、ついに世界挑戦の舞台に立つのだから立派と言えるだろう。
ここまで続けてこられたのは何より実衣菜ちゃんの理解があったからだ。一人娘はママがボクシングをしていることが自慢で、今回の世界挑戦を「楽しみにしている」という。これが「絶対に勝つ」というモチベーションの源になっていることは言うまでもないだろう。
対戦相手のケーシー・モートン(8勝1KO1敗3分)はWBOアジアパシフィック・フライ級王者で「ガードが高くしっかりした選手で、よく前に出て、手を出してくる選手」(加山利治会長)。フィジカルの強い吉田とは真っ向勝負が予想される。
次の試合に向けては、「1週間か2週間か分からないけど娘を鹿児島に実家に預かってもらう。万全の状態で試合に臨みたい」と吉田。娘を長期間預けるのは初めてで、このチャンスにかける並々ならぬ意気込みが伝わってきた。