前日本王者でIBF・S・フライ級1位の船井龍一(ワタナベ)が20日、東京・五反田のジムで記者会見を開き、5月4日に米カリフォルニア州ストックトンのストックトン・アリーナでIBF世界同級王者ジェルウィン・アンカハス(比)に世界初挑戦すると発表した。
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世界戦が決まり「1日1日を大切にしている」と船井
記者会見の冒頭「ついに来たかという感じ」と口にした船井はジム入門18年目、33歳でつかんだビッグチャンス。「アマ出身の若い子がすぐチャンピオンになる時代だけど、33歳でやるのが遅いとは思わない。いまがベストタイミング」とまずはようやく訪れた好機を歓迎。
海外はプライベートも含めて韓国に1度行っただけというが、「世界チャンピオンになることも、アメリカで試合をすることも夢だった。その夢が同時にかなうのが5月4日だと思っている」と声を弾ませた。
27歳のアンカハスは30勝20KO1敗2分のサウスポーで、これまで6度の防衛を成功させている。船井が「「カウンターが打てるし、アグレッシブに出れるし、駆け引きもすごい」と評価する実力者で、17年にトップランクと契約している。
実績からいって不利予想は否めないところだが、船井は「自分は一発があるし、まとめて倒すこともできる。チャンスを生かして倒しきるところを見せたい」と抱負を述べた。
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昨年9月の防衛戦はドローだったアンカハス(右)
33歳の船井は31勝22KO7敗の戦績が示すように、決して順風満帆のボクシング人生を歩んできたわけではない。アマチュアキャリアがほとんどなく、プロでは4回戦時代に3敗。タイトル挑戦も2度失敗した。
特に2012年5月のOPBFバンタム級王座戦、チャンピオンのロリー松下に9回TKO負けした試合は「1ラウンドで記憶が飛んで、8ラウンドまで何も覚えていない」という内容で9回TKO負け。眼窩底骨折まで患い「引退を考えた」いという。
それでも周囲のサポートに助けられ、17年3月に高校時代の同級生、中川健太(現三迫)との“親友対決”に勝利して日本王座を獲得。昨年11月、IBF挑戦者決定戦を制して今回の試合に駒を進めた。
昨年11月以降、サウスポー対策に取り組んできたたたき上げの船井は「必ず勝って世界チャンピオンになる」とやる気満々だ。
試合はトップランク社のイベントでセミを予定。メインはIBF世界L・ヘビー級王者アルツール・ベテルビエフ(ロシア)がラディボエ・カライジッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)と防衛戦。
また同日はラスベガスのT-モバイル・アリーナで、ミドル級統一戦、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)vsダニエル・ジェイコブス(米)が挙行される。